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Q1:
ヘモグロビンAIC6.0 グリコ120と糖尿病は改善に向かったが、クレアチン1.3と1.6範囲内のため、薬と食事の対応法をご指導願いたい。 
A1:
糖尿病をコントロールする目的は,合併症を予防あるいは増悪を阻止することにあります。合併症には,@腎症(腎臓の障害),A網膜症(眼の障害),B神経障害,C大血管障害(脳卒中,心筋梗塞,閉塞性動脈硬化症など)があります。腎障害は,1期から5期に病期が分けられています。

1期:臨床症状はありませんが,顕微鏡レベルでは腎臓組織に障害が始まっている状態
2期:尿タンパクの試験紙では,尿にタンパクが検出できないのですが,微量アルブミンを測定する検査方法では,微量な尿タンパクが検出できる病期
3期:尿タンパクの試験紙にて尿タンパクが検出できる病期。腎臓の機能の低下も始まります。
4期:腎臓の機能が低下して,クレアチニン値が上昇し(一般的に2以上),いわゆる慢性腎不全の状態になっている病期
5期:慢性腎不全が進行し,透析が必要になっている病期

4期に至ってしまうと透析を回避することは難しく,進行を遅らせる治療になってしまいますため,1期から3期の段階にて十分糖尿病をコントロールすることが必要です。

 ご質問のクレアチニンが1.3から1.6の状態は,上記の3期に相当します。腎障害を進行させないためには,糖尿病のコントロールを良い状態にしておくことは言うまでもありませんが,その他に,血圧のコントロール(収縮帰結圧125以下,拡張期血圧75以下),食事でのタンパク制限,塩分制限も重要です。
Q2:
糖尿病は遺伝するのでしょうか?また完治するのでしょうか?
A2:
糖尿病の中には遺伝子の異常の有無のみで発症するかどうかが決まってしまう糖尿病もあり,その場合はある一定の確率で子孫に遺伝してしまいます。しかし,ほとんどの場合,遺伝だけで糖尿病になるわけではありません。しかし,糖尿病になりやすい体質は多数の遺伝子の個人差の集まりにより決められていると考えられています。そのため,親が糖尿病を持っていると子供も糖尿病になりやすい傾向があることが多くなります。

糖尿病の発症にはもう一つ重要な原因に食習慣や生活習慣といった環境因子があげられます。こちらは,自分の注意により改善することが可能であるため,親が糖尿病であり,たとえ自分が糖尿病になりやすい体質を持っていたとしても,食習慣や生活習慣の改善により糖尿病の発症や進行を止めることができます,また,子供は親の食習慣や生活習慣の影響を受け,またそれを模倣して育っていくため,それらの環境因子もあたかも遺伝する様に受け継がれていくことになり,遺伝の要素が濃い印象を受けることがあります。

したがって,一部の例外(1型糖尿病など)を除いて,糖尿病の原因の一部である環境因子を取り除くことにより,糖尿病を治癒させることも可能ですが,糖尿病になりやすい体質は遺伝により決められていることが多く,食事や生活習慣に問題が多くなると糖尿病は再発してくることになります。糖尿病が良くなってきても,完治したとは思わず,糖尿病はどこかで隙をうかがっていると考え,生活上の注意を怠らないことが肝要です。
Q3:
糖尿病を治療中ですが,肝臓が悪くなってきたと主治医から言われました。どのようなことに注意したらよいでしょうか?また肝臓の治療になるようなお薬はありますでしょうか?

A3:
肝臓の病気と糖尿病は非常に深い関係にあります。肝臓が障害されるとそれが原因で糖尿病が発症したり増悪したりすることがあり,また逆に糖尿病が悪化すると肝臓の病気も悪化します。したがって,肝臓の障害を治療することは糖尿病にとっても非常に重要になります。肝臓病には,B型肝炎やC型肝炎といったウイルス性肝炎も非常に多いのですが,特に糖尿病と関係が深い肝臓病は脂肪肝です。

脂肪肝にはアルコール性と非アルコール性があります。アルコールの多飲は,脂肪肝やアルコール性肝炎を引き起こし,それでも禁酒できないと肝硬変に至り,生命に危険が及ぶことになります。また,糖尿病の増悪や中性脂肪の上昇を来たし,動脈硬化などを引き起こしてしまいます。既に脂肪肝や肝炎・肝硬変などの肝臓の障害をきたしている場合は禁酒が必要です。また,肝臓の障害が起こっていない糖尿病の患者さんも,過量のアルコールは禁物です。もし糖尿病のコントロールが良い場合は,日本酒で1合未満の量にとどめてください。糖尿病のコントロールが悪い場合はやはり禁酒が必要です。

一方,アルコールを飲んでいないのに脂肪肝になってしまう場合があり,これを非アルコール性脂肪肝といいます。これは通常それほど重症になることはないのですが,このうち約1割の患者さんにNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)という病気がみられることが分かっています。NASHは肝硬変になっていくことがあり,肝臓癌の原因ともなります。通常の診断の上で,非アルコール性脂肪肝とNASHを区別することは非常に難しいのが現状ですので,肝障害が合併してきた場合は注意が必要です。これらは,糖尿病や肥満,高脂血症などに合併することが多く,食事の摂りすぎや運動不足といった悪い生活習慣が原因となり発症します。

治療法ですが,ウイルス性肝炎などの他の肝臓病では薬物治療が必要となりますが,糖尿病に合併しやすい脂肪肝に対しては,薬物療法は通常は行いません。アルコール性脂肪肝では禁酒が最も有効な治療法であり,非アルコール性脂肪肝やNASHに対しては生活習慣の改善や糖尿病などのコントロールが最も有効です。


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